EVENT REPORT

日本のデザインを考える
第3回 ウィリアム・モリスと生の感触(Vivid Touch)

【スピーカー】鈴木誠一郎

【聞き手】 川崎紀弘

EVENT REPORT

日本のデザインを考える
第3回 ウィリアム・モリスと生の感触(Vivid Touch)

【スピーカー】鈴木誠一郎

【聞き手】 川崎紀弘

19世紀イギリスを代表する巨人、ウィリアム・モリス(1834 - 1896)をテーマにトークを行ないました。

OVERVIEW

2013.01.24(木)

スピーカー:
鈴木誠一郎(AZホールディングス会長)
聞き手:
川崎紀弘(コンセント クリエイティヴ・ディレクター)

近代デザインの創始者として知られるモリスは、詩人、作家、ファンタジー文学の創始者、批評家、企業家、マルクス主義労働運動の指導者といった多くの面が有機的につながった人物でした。
今回のトークでは「アーツ・アンド・クラフツ運動」や日本の民芸運動に引き継がれるその合理的デザインよりも、彼の制作物に通底する生き生きとした表現、「生の感触(Vivid Touch)」に注目し、日本のデザインとの共通点を探りました。

19世紀にしてモダニズムの限界に気づいたモリスは、反近代の思想に加え、マルクス主義的思想をもっていました。しかし彼が注目したのは「革命」自体ではなく「革命後の世界に、人々がいかに豊かに生きるか」でした。これは他のマルクス主義者とは大きく異なるところです。
モリスは「ユートピアだより」で、未来のロンドンに迷い込む主人公を通じて、革命後の社会を描きました。社会のシステムがどのように変わり、人々の生活がいかに豊かで美しいものか、細部にわたり生命感あふれる物語を活写したのです。

モリスからは多くのことを学ぶことができますが、このトークでは大きく分けて下記の2点を重要なポイントとしました。

・近代の「時間軽視」の風潮から距離をおき、時間の重要性を取り戻すこと。
・ディテールを全体と同じくらい重視すること。細部の積み重ねのないところに、命は宿らないこと。

この2点は、スピーカー・鈴木誠一郎さんの言葉を「amu Wisdom」にまとめていますので、ぜひご覧ください。

24. 編集デザインには時間の復権が必要だ。
http://www.a-m-u.jp/wisdom/24.html
25. ディテールのないところに命はない。
http://www.a-m-u.jp/wisdom/25.html

加えて「日本のデザイン」との直接の共通点として、モリスの人生や視覚表現が、女性的な世界把握と親和性が高いのが指摘されました。
特にモリス独特の柄(パターン)に注目する表現は「源氏物語絵巻」に代表される、パターン化されて衣服や装飾が緻密に描き込まれた「女絵」との共通しています。男女のイラストレーションの傾向の違いを調べた現代の研究と比べても、モリスの表現は日本女性の描くイラストと同じ特徴を持っていることが分かりました。
一般に言われる民藝とのつながりばかりでなく、モリス独自の資質が日本の感性と大きく共振していることが語られました。

amu

未来を編む

「デザイン 」「アート 」 関連の記事を
もっと読む