EVENT REPORT

こどもメディアラボ vol.12 ーーこどもとデザイン

【ゲスト】五十嵐久枝

【聞き手】石戸奈々子

EVENT REPORT

こどもメディアラボ vol.12 ーーこどもとデザイン

【ゲスト】五十嵐久枝

【聞き手】石戸奈々子

子どもとメディアの関係を総合的に考え、新しい価値を生みだす「こどもメディアラボ」。第12回のテーマは「こどもとデザイン」。ゲストにイガラシデザインスタジオの五十嵐久枝さんをお招きしました。当日のトーク内容をCANVASがレポートします。

OVERVIEW

2016.06.28(火)

ゲスト:
五十嵐久枝(インテリアデザイナー)
聞き手:
石戸奈々子(NPO法人CANVAS理事長、株式会社デジタルえほん代表取締役、慶應義塾大学准教授)

「感じるデザイン」。五十嵐さんが大切にしている言葉です。言葉を介して想いを伝えるのではなく、体全体を使って感じてもらい、伝えたい。そんな空間づくりを意識していると五十嵐さんは言います。実際に五十嵐さんのデザインされた作品を見ながらその言葉の意味を深堀りしていきます。

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赤と青の丸いパネルが子どもの遊び心を刺激する、低年齢向け屋外遊具「Card」。2010年にグッドデザイン賞を受賞されました。従来の人工大理石や鉄製のものではなく、木の質感がやさしい木製のシステム遊具です。イメージしたのは「子どもたちが遊んでいるところに、天からひらひらとカードが舞い降りてできた遊び場」。パネルは、大きな丸や、小さな丸がくり抜かれてあり、子どもたちはそれらを窓や目やボタンに見立てて遊びます。S字の通路やあえて傾斜をつけたスロープは、子どもたちが走ったり登ったりする速度を落とすための工夫だと言います。2、3歳児が安全に、かつ創造力を膨らませながら遊べる仕掛けがいくつも施されています。

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「風景となる遊具」をテーマに制作したドーム型スライダー「ソフトドームS」は、まるで園庭に佇む小さな丘のように見えます。子どもが元気良く小山の上まで登り、丘の上から笑顔で手を振っている子どもの姿を想像しながらデザインしたと、説明いただきました。ツルっと転んでも、たんこぶのできないようにソフトな感触の素材を使い、また保育者が脇でサポートしやすい形状に滑り台を設計したとのこと。ちょっと不思議な形をした滑り台の下には、カーブを描いた小さなトンネルもあります。そんな五十嵐さんの想いが詰まった遊び心満載の遊具は、子どもたちの好奇心をぐっと掴み、すべての人にワクワク、ドキドキ感を届けます。

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全体的に透け感のある不思議な遊具「seed」は、トンネルをくぐったり、凹みにたまったり、さまざまな遊びの要素を見つけることができます。「半透明な非日常の空間の中で、子どもたちがどのような遊び方をするのか見てみたい」。そんな五十嵐さんの好奇心が形になった作品です。

「色のある日常」をテーマにデザインをした事例もご紹介いただきました。保育園のインテリアデザインを担当した時は、部屋ごとに発達段階に沿ったテーマカラーを設けました。1歳児の部屋は爽やかで優しさが感じられるライトブルー、2、3歳児の部屋はより活発で自発的なオレンジ色、といったように、日常生活の中で色を感じられる空間を演出しました。

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PHOTO: NACASA&PARTNERS INC.

他にも、「子どもが遊んでいた痕跡」を色や素材を使って表現したキッズルームの空間デザインの話、「場をつくる道具」の話、子どもたち特有な思考や行動をヒントに展開している大学のプロジェクトの話等、たくさんの事例や作品をご紹介頂きました。

包み込まれるような、柔らかで優しい五十嵐さんの作品は、なんともいえない居心地の良さを演出します。しかし、「包み込むデザイン」は決して安心感を与えることだけではないと言います。五感すべてで空間を感じ、ありとあらゆる刺激を包み込み、咀嚼し、そこから新しいものを生みだすことができる空間が「包み込むデザイン」。そして、それが「インテリアデザイン」でもあると言います。五十嵐さんの今後の更なるご活躍が楽しみです。

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