何のための波風か?
左からamuのコンテンツディレクターの千々和淳さん、コンセントのプロジェクトマネージャーの石野博一さん、ジャーナリストの堀潤さん、コンセントのディレクター松田彩さん
波風というと、一般的に良くないイメージがあるかと思います。松田さんも、波風が立つのは、勘違いやボタンの掛け違いが原因ではないかと捉えているそうです。
しかし、石野さんは「何かを言われたことでこころがザワっとするとき、100%ネガティブな方向ではなくて、ポジティブな方向にも行くような気がする。」と言います。
この、波風を好意的に捉える観点から、波風には実は大事なはたらきがあるというお話に。
堀さん「信念があるときとか、ゴールを見据えているとか、譲れない何かがあって、本当に理解してほしいんだと一生懸命伝える気があるときには、波風がものすごく大事。」
炎上商法や、注目を集めようとするメディアのエピソードをとりあげ、状況や環境を変える目的で、また、伝えたいことを主張するために、そのプロセスとして起こす波風もあることが語られました。
波風を起こすのは意外と難しい
波風は大事だからこそ、波風を仕掛ける人には、最大限のサポートをしたいという堀さん。少し変だなと思う発言に対しても、むちゃくちゃ大事な点ですね!とまず同意するそうです。これには会場も苦笑いの様子。
しかし直後の「誰かが言った勇気ある波風を、黙殺することが一番嫌い」という言葉に納得させられました。
これに関して、石野さんは、チカラのある人がおこす波風は反応されやすいけど、主流派ではない人が起こす波風が同意されにくいのは寂しいことだと指摘します。
松田さんは「小さな波でも新たな視点としてすごく響くときがある。痛いところをつくのはチカラがなくてもできますよ」と話していました。
良し悪しを評価する前に、まず落ち着く
続いては、波風は良い/悪いで評価できるのか、という議論に。波風の良し悪しを決めるのは難しいという堀さんは、次のように話しました。
堀さん「投げた石は、どんな意思(どんな石(笑))であれ何かが動くきっかけになる。良し悪しはあくまで結果論であって、その瞬間の波風の評価は、いったん置くことが超重要なんじゃないかな。」
この話をきっかけに、登壇者たちから、落ち着きをとりもどすための対処方法が挙げられました。
1つめは、「口を開ける」という方法。口を開けていると人はものを考えられなくなるそうです。参加者のみなさんも次々に実践してみて、会場は笑いに包まれました。そして2つめは、名インタビュアーに倣って、相手の発言に「まず5回うなずく」という方法。3つめは、相手を冷静にさせる方法として「いったんそのままオウム返しに言い返す」という方法でした。
すぐに評価をしようとしない点が共通しており、一拍おいて客観的になれるような工夫をすることが効果的なようです。どれも簡単に実践できる、波風への対処法でした。
付箋で集める、参加者のみなさんの意見
議論の可視化、グラフィックレコーディング
結論は出さずに…
波風というと、波風に振り回されて困ったエピソードが出てくるかと思いきや、波風をいかに活用するかという論点で話が進んでいったことが驚きでした。人と人との中心で活躍される登壇者ならではの視点だなと思います。
イベントの最後には千々和さんが「答えを出すためのイベントではなくて人とめったに話さないテーマについて話すことが大切」とまとめてくださいました。
波風の話は、その人の立場や考え方によって、議論が変わっていくような面白さを持っているのかもしれませんね。
実は、今回のテーマ企画はレポート筆者の私が行っていました。
入社後、初めての企画ということで、わくわくした期待の気持ちと同時に、本当に楽しんでもらえるのだろうかと、正直自信がありませんでした。
抽象的なテーマであるだけに、初めは想像していなかった議論に達したところもあり、トークイベントの「生もの感」を味わえたことが大きな収穫です。
参加してくださった皆さま、本当にありがとうございました!!!
次回の「今夜はシリーズ」も、ただいま企画中です。
参加者の方と一緒に楽しめるイベントになるよう、今回の学びを活かしていきたいと思います。
皆さまどうぞお楽しみに。