EVENT REPORT

ヴィジョンと現代社会の潮流――日本的ウェルビーイングの可能性 vol.1

【スピーカー(研究参加者)】安藤英由樹、坂倉杏介、ドミニク・チェン、加藤亮子

EVENT REPORT

ヴィジョンと現代社会の潮流――日本的ウェルビーイングの可能性 vol.1

【スピーカー(研究参加者)】安藤英由樹、坂倉杏介、ドミニク・チェン、加藤亮子

2017年3月25日、amuにて JST/RISTEX「人と情報のエコシステム」採択プロジェクト「日本的 Wellbeing を促進する情報技術のためのガイドラインの策定と普及」のキックオフ・シンポジウムが開催されました。レポート第1弾は、ウェルビーイングのこれからといまについて考えます。

OVERVIEW

2017.03.25(土)

スピーカー(研究参加者):
安藤英由樹(大阪大学准教授)、坂倉杏介(東京都市大学准教授)、ドミニク・チェン(株式会社ディヴィデュアル共同創業者)、加藤亮子(芝の家・事務局長)

INDEX

  1. プロジェクトについて
  2. ウェルビーイングをめぐる海外の状況
  3. コミュニティと情報技術開発のありうべき関係とは

プロジェクトについて

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ドミニク:大阪大学の安藤英由樹先生が研究主任となり、3年間のプロジェクトとして「日本的ウェルビーイング」の研究・開発を進めていきます。とても多彩なメンバーで進めておりますが、今日は特別ゲストで石川善樹さんにもお越しいただきました。石川さんは予防医学の博士でして、最近メディアでもよくご登場されているのでご存知の方も多いかと思います。予防医学の観点から我々のプロジェクトがどのあたりに位置付けられるのかという話をしてくださいます。また、我々の研究メンバーでもある能楽師の安田登さんと、浪曲師の玉川奈々福さんが夏目漱石の『夢十夜』という小説の一部を能にされて実演してくださいます。さらには、京都の平等院から神居文彰住職にもお越しいただいてます。
このプロジェクトは、科学技術振興機構(JST)の社会技術開発センター(RISTEX) によって昨年、「人と情報のエコシステム」という新しい領域ができまして、その中で採択されているプログラムとして我々の「日本的ウェルビーイングを促進する情報技術のためのガイドラインの策定と普及」があります。そのほかにも隣接する他のプロジェクトもかなり学際的な研究領域で、たとえば分子ロボットの法律を考えるとか、医学において患者さんが自分と対話するために人工知能を使う、などといったものがあります。
それではまず最初に研究主任の安藤さんから、我々のプロジェクトの紹介をお願いします。

安藤:大阪大学の安藤です。我々のプロジェクトの目的は一言でいうと、情報技術のための新たなガイドラインをつくっていくことです。詳細はこの後説明させていただきます。それでは、なぜこのプロジェクトに至ったのかという話として、「心臓ピクニック」というワークショップについて話をしたいと思います。

 

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ワークショップは、「心臓ボックス」という筐体を手のひらに置いて、そこについている聴診器のかたちをしたマイクを胸に当てて、手のひらの皮膚を通じて心臓の鼓動を感じるというものです。今までに1,000名以上に体験してもらい、これで鼓動を感じるということがどういう意味を持つかというワークショップを行いました。5歳の子でもすぐ趣旨をわかってもらえました。そして、45分かけて、1人でやったり、みんなでやったりということを通して、最後に感想を語ってもらうと、「これが自分なんだ、生きてることなんだ」「これをみんながやれば凶悪な殺人事件とかなくなるんじゃないか」「こんな風に次に鼓動を聞くのは赤ちゃんを授かったときかな」「電源を切るのが切ないです」といった、ただ鼓動を感じるだけでなく、生きていることが実感としてわかるという意見を出していただけました。このように、単に情報として伝えるだけではなくワークショップなどで体験をすることには、心をポジティブにするような要素があるんじゃないかと思います。
昨今、SNS の普及などによりコミュニケーションに疲れを感じていたり、ネットだと炎上がおきたり、いじめが起きたりということが問題になっています。一方で、西洋では情報技術と心の豊かさを結びつけていこうという考えが進んでいます。たとえば、ポジティブ心理学というところでは、単に幸せを一つの尺度で計るのではなくもうすこし細分化して、心の状態をよくするための方法を説明しようとしていたり、あるいはビジネスの経営者の間で流行っている禅からヒントを得たマインドフルネスなどを採り入れることがあります。さらに、ポジティブコンピューティングという、心をポジティブな状態に向かわせるためのコンピュータの設計理論が提案されてきています。
しかし、こういった欧米でつくられたものをそのまま日本に持ち込んで大丈夫かなということをいろいろ考えました。その考えを検証していくことが我々が目指していることの1つです。心をポジティブにすることを「どのように実現するか」という日本のガイドラインをつくって、こういう風にやったらうまくいく、あるいは問題が起こるということなどを示していくだけでなく、それをどう評価するかも示していきます。心臓ピクニックの例でいえば、ユーザーは「いまあなたの心拍がこれくらいなのでこういう風にしてください」といきなり数字で出されてもピンとこないと思います。人間観として欧米は個人としての幸せ度を重視する傾向が強いのですが、日本は場の空気や雰囲気といった、みんながそれなりにいいという状態を重視する傾向が強いと思います。なので、ここ日本では集団主義的な目的のもとに、ユーザーに「そもそもどうしてこういうことを考えなくてはいけないのか」という意味を繰り返し考えさせるとか、あるいは記号的ではなくて身体的に共感させるということを狙っていくことが必要な気がします。
ふりかえってみると心臓ピクニックは、それでなにかがわかるというものではなく、生きているとはどういうことかを考えたり、たとえば走りだして自分の行動を変えると心拍数が変わるということがわかったり、ほかの人と心臓の交換をすることでコミュニケーションをとったりするものです。これをもっと分析していけば、心をよくしていくようなシステムやアプリのガイドラインが生み出されていくのではないかと思います。

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というわけで、このプロジェクトはこのメンバーで取り組んでいきます。私はものづくり派なので、技術開発グループにいます。それを実際の人がいる場の中でどういう風に使われていくか、どういうことが起こるかということを実証していく、実証して得られたものをフィードバックしていくというループを回していって、どういったことが起こっていくか、あるいはなにをどういう風に変えればよくなっていくのか、ということを調べていきます。具体的には、アプリやソフトウェアの開発のガイドラインなどを公開する予定です。我々は今まで重視されてこなかった、「心をポジティブにする」という観点から、ガイドラインをつくり、それを一般の人がすこしでも見られるような状態にして、どんどんアップデートできるような仕組みづくりをしていこうと考えています。将来的には、このガイドラインに沿って開発を行えれば、心に問題を起こさない、みんなが幸せに感じられるアプリをつくることができるようにしたいと思います。私たちは日本的ポジティブコンピューティングの追求とその情報社会への普及を通して、こういったプラットフォームづくりを目指します。私からは以上です。ありがとうございました。

ウェルビーイングをめぐる海外の状況

ドミニク:安藤さん、ありがとうございました。いま安藤さんが話してくださった課題に対して技術的に取り組んでいるのは海外、特にアメリカの西海岸やオーストラリアです。2017年1月に日本語訳が出版された『ウェルビーイングの設計論』は、オーストラリアはシドニー大学のラファエル・カルヴォ(Raphael Carvo) 先生とドリアン・ピーターズ(Dorian Peters)先生が書かれたもので、これを本プロジェクトの研究メンバーの私と、渡邊淳司さんで監訳しました。
2週間前に、合計36時間くらい飛行機に乗って、強行軍の出張をしてきました。全然ウェルビーイングではない日程ですね(笑)。まずは禅やマインドフルネスという考え方が非常に普及しているサンフランシスコに行き、Spire という呼吸を記録する機械を開発している企業の方たちのお話を聞きました。その後シドニーに行って、『ウェルビーイングの設計論』の著者たちにもお会いして、この分野に関連するところも訪問しました。

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アメリカで最近有名なマインドフルネス系のデバイスがいくつかあります。HEADSPACE という、瞑想するためのカレンダーをつくってくれるアプリや、 MUSE という瞑想を手助けしてくれる頭部に装着するデバイスなどがあります。 Spire はそのような潮流の中にある新しいデバイスで、実は私も研究メンバーもつけているのですが、小石のようなデバイスを身につけているだけで呼吸パターンをモニタリングし、リアルタイムでストレス度などを可視化してくれるものです。その設計思想などを聞きに、サンフランシスコの Spire 社を訪問してきました。そこで、個人主義的なマインドフルネスの追求に対して集団主義的な話をどう考えるのかという点をぶつけて、当日4時間くらい議論を交わしてきました。Spire の共同創業者のニーマ・モラベジ(Neema Moraveji)博士は、スタンフォード大学で Calming Technology Lab(話者訳:「心を落ちつかせるテクノロジー」)の主任研究員を務めていた人です。彼自身がスタンフォードで行動を変容させる心理学の領域を勉強していました。そうした行動を変容させるテクニックは、『Hookedハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール』(翔泳社 2014)という元 Google のニール・イヤール(Nir Eyal)が書いた本が詳しいです。 ” Hooked “ とは日本語で「中毒している」という意味です。いかにユーザーを中毒状態にさせるかということは、たとえば Google であったり Facebook であったり、いわゆる商業的な情報技術のサービスでは非常に重要なわけですね。ニーマさんも最初はそういった、ユーザーを虜にできる設計を学んでいたのですが、それが本当に正しいことなのかと疑問を感じ、Spire を開発したそうです。実際、Spire の設計は Apple が Watch の発表時に提唱した Nuanced Communication、つまり「微妙なニュアンスで伝える」というデザイン思想に近く、ユーザーにゴールを執拗に押し付けない情報提示が特徴的です。このプロジェクトでも、Spireを活用した研究を予定しています。
そして次に、私たちはシドニーに行きました。オーストラリアは、多額の予算や人を投じて国民のウェルビーイングの向上に取り組んでいることが実感としてすごくよくわかりました。
まず、シドニー大学の Brain and Mind Centre を訪問しました。そこは心理学者に加えて、精神科医も参加しているチーム構成でした。彼らは、たとえば心の問題を抱えている人が集うオンライン掲示板を自動的に解析して、利用者のなかで本当に手助けを必要としているというサインを発見し、専門家にアラートを出して介入をするというネットワークをつくって全国的に展開させようとしています。
また、今回の視察のメインのポジティブ・コンピューティングを研究するラボラトリーにも行ってきました。研究室の入口には、こういうパネルがかかげられています。

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Autonomy(自律性)やCompassion(慈しみの心)をどうコンピューティングで捉えるのかという問題意識をもとに、修士・博士の学生たちがいろんなプロトタイプをつくっています。先のセンターと同様に、オンラインテキストの自然言語解析による危険検知であったり、医者が患者の Autonomy(自律性)を妨害していないかということを検出するための映像解析技術の開発などが行われていました。
この弾丸出張では、次のようなことがわかりました。アメリカの西海岸では、情報技術サービスにユーザーを中毒にさせない新しい方法を考えながらウェルビーイングをとらえるということを考え、さらに理論的構築だけではなくどうプロダクトとして市場に出していくかというフェーズにまで進んでいるということがわかりました。他方、オーストラリアでは、国家規模でメンタルヘルスを国民の問題として取り組んでいこうとしています。視察で会った様々な人たちが異口同音に「自律性」、Autonomy という言葉を使っていました。たとえばどんなに便利な情報技術をつくったとしても、それに依存させてしまったらウェルビーイングと呼べるのかという大きな問題設定があります。
そして、先ほど安藤さんからも我々のプロジェクトとしては、日本の文脈になじむウェルビーイングの議論にどう情報技術が介入できるのかということをつくっていくことが非常に重要である、ということが実感を伴ってわかりました。次に、坂倉さんの方から、日本国内での関連動向の調査について報告があります。では坂倉さん、お願いします。

コミュニティと情報技術開発のありうべき関係とは

坂倉:こんにちは。坂倉と申します。私の専門はコミュニティ論、コミュニティづくりです。最近は「コミュニティ」という言葉が結構うすっぺらい言葉になりつつあり、なにかつながりができてよかったねというレベルになってしまっています。そうではなく、コミュニティづくりとは、地域を本当に持続可能にしていくための人間関係のエコシステムをつくることです。この研究領域にとって、情報技術がどういう風に暮らしの中に入ってくるのかは人と情報のエコシステムとしてすごく重要なテーマです。しかもその技術を受容して、単に便利になるということだけではなく、どうやってそれに関わる開発者や地域の人びとが幸せになるかを考える必要があります。もっといえば、地域のコミュニティの中から必要な情報技術がどういう風につくられていくのかということを考えなければならないのです。単にできた技術をコミュニティの中で実験するというだけでは従来型のテストと同じです。そうではなく、もうちょっと技術とコミュニティがともに進化していくようなプラットフォームができないのかということを研究しています。その手がかりとして、徳島県神山町というところにいってきました。

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神山は、最近地方創生で有名な地域の1つです。そのきっかけがこの写真です。NHK の番組でお兄さんが川で冷たい水に足をひたしながら、PC を開いている様子が取り上げられました。神山は徳島市から車で1時間くらいの山の中にありますが、最近 IT 企業のサテライトオフィスができています。たとえば株式会社プラットイーズという映像の配信をしている会社が古民家を改修して、サテライトオフィスをつくって30人くらいの地元の人を雇用しています。もともと神山はアダプト制度*1を県が支援していたり、グリーンバレーという NPO が地域づくりを頑張っていて、アーティスト・イン・レジデンス*2などいろんな活動を支援しています。以前は織物の工場だったところをシェアオフィスにしていたり、メーカースペースという、3Dプリンタやレーザーカッターなどの置いてある場所では学校帰りの高校生が記念品をつくって町のイベントに提供していたりします。

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普段は車のデザインをされている3D モデラーの寺田さんという方が、神山に住んでいます。この方はフリスビーがすごく上手なので、地元の小学校でフリスビーの授業をやっている。そこでは、単に遊んで終わりではなくて子どもたちがオリジナルのフリスビーを PC 上で3Dモデリングして、3Dプリンタでつくって、遊び方を自身で考えるようにしています。単に情報技術として PC の中で完結するのではなく、フリスビーというすごく身体性の高いものでほかの人とコミュニケーションをとりながら遊びつつ、同時に技術を学んでいます。習得した技術を使ってどういう仕事をしようとか、あるいは社会は自分たちでつくっていけるんだよねということを子どもたちが学べるようになっています。
そうしたことがふつうに起こっている地域です。この研究はまだはじまったばかりで、こうしたコミュニティとテクノロジーの関係について、神山に住んでいる2人の方に意見を聞いてみました。
1人は、Sansan 株式会社というクラウドの名刺管理の会社の辰濱健一さんです。Sansan も神山に古民家を改修したサテライトオフィスがあります。常駐しているのはエンジニアが2人ですが、そこで新入社員研修も行っています。「テクノロジーとコミュニティについてどう考えますか?」と聞いたら、いくつか答えてくれました。神山でソフトウェアの開発をするようになってから、季節や自然環境を感じられる中で働くことの重要性を感じるようになったそうです。米はどうやってつくられているかとか、イノシシを獲りに行って、肉がどういう風に食べられるようになるのかということがわかってくる。そうした生活の本質的なことに触れると、今まで何気なくコンビニでお弁当やおにぎりを買っていたけれど、その食材がコンビニに届くまでの生産者や過程について考えることが増えたそうです。技術を都市生活者の日常生活のちょっとしたニーズをどうにかするためではなくて、もっと人間の根源的なニーズ、自然の中で生きている人間のニーズを知った上で開発することが大事なんじゃないかと答えられていました。あとは、人口がすくないのでつながりやすい、自分が活躍する場がいっぱいあって、近所のおじいちゃんにスマートフォンのことを教えてあげて喜んでもらうことがエンジニアとしては人間の根底レベルで嬉しいなどとも話していました。すごく示唆的だなと思ったのは田舎の方がユーザー参加型の開発が非常にしやすいという言葉です。「この間農家のおっちゃんたちとアイデアソンをやったんですよね」と。人間関係がすごく近いところだから、農家の人がどういうニーズを持っているのかすごくわかるし、気軽に「ここもうちょっとなんとかならへんの」といったコミュニケーションが直にとれる。技術開発の川上のところからユーザー参加でやるというのは実は田舎の方がやりやすいのかもしれないとという話をされていた。おそらくカリフォルニア、シドニーの海外視察で見聞きしてきたところと呼応するところが日本で起こっているのではないかなと思います。

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もう1人、リビングワールドの西村佳哲さんにもお話を聞きました。彼は、より広い世界とつながることの重要性や、そのためのテクノロジーがあるのではないかといっています。人が世界にひらかれるようなテクノロジーだったり、明日や1年後はもっとよくなるという可能性を信じられるような状態であるためのテクノロジーが必要である。そしてこれから大事になってくるのは、個人のウェルビーイングだけではなくて、人間を関係的なもの、人間関係の中の存在としてみたときのウェルビーイングなんじゃないかという話をしてきました。
まだ調べはじめたばかりですが、日本の、特に東京では情報技術の開発環境としてみえていないことが、自然が多くて人もすくない地方に行くとよりリアルに感じられるということが起こっているんじゃないでしょうか。こうしたことから、このプロジェクトではウェルビーイングのガイドラインをつくってみたり、ちょっとした技術開発をしてみたりということを実際にコミュニティの中でフィードバックをうけながら試していきたいと考えています。
そのための具体的な1つの場所として芝の家というのがあります。これは、東京の港区にある、近所の人が集まる拠点です。この芝の家がどういう場所なのか芝の家の事務局長の加藤さんにご紹介いただきます。

加藤:芝の家は港区の東京タワーのふもとにあります。慶應義塾大学が近くにあって、大学と港区の共同で運営しています。表題としては「地域をつなぐ」ということで人と人が出会う場所になっています。お互いが外で挨拶するような関係になったり、別のところに一緒に行くようになったり、なにかを助け合ったりすることを目的とした場所です。だれでも入ることができ、区民でなくても、よその地域からいらっしゃる方もいますし、世代も小さい赤ちゃんからおじいちゃんやおばあちゃんまで出入りをしています。

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これはみんなでおやつのよもぎ団子をつくっているところです。こういうちょっとしたイベントをやったり、それぞれが自由に時間を過ごしている時間帯もあったりします。駄菓子を買ったりや自分でお茶をいれられるような喫茶スペースがありまして、それ以外はなるべく来訪者が自由に使えるようにスタッフがすこし関わりながら場所をつくっています。運営している私たち事務局スタッフと近所の方、コミュニティに興味がある方がボランティアで場をひらいています。

坂倉:ありがとうございました。こういった芝の家を舞台にして議論を行いたいと思い、この間、興味のある人を集めオープンミーティング「コンピューターとの幸せな付き合い方?」というイベントを開催しました。中学2年生から81歳のおじいちゃんまで20人以上の人が来てくださって、話を聞いてみるとみなさん情報技術に思った以上に関心があり、期待もあるが不安もあるということがわかりました。ここからどういう風にすすめていくのか探索的にワークショップをやっていこうと思っています。先ほどの神山町の例で、東京ではなく小さな町の方がユーザー参加型がやりやすいのではないか、東京でやろうとすると非常にむずかしいのではないかと思っていましたが、芝の家というのは極めて稀有な状態で、東京にもかかわらず、近所の人たちがなんの利害関係などもなく、集まってきています。そういうコミュニティの中でどうやって情報技術を受容していくのか、あるいは、どういうものが本当に幸せ、ウェルビーイングにつながっていくのかということを実験的に考えていきたいなと思っています。

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*1 アダプト制度:アダプト(Adopt )とは英語で「養子にする」の意味。公共の場所を養子にみたて、市民や民間業者がわが子のように愛情をもって美化活動をすることを行政が支援する制度。日本では徳島県神山町が1998年にはじめて導入した。

*2 アーティスト・イン・レジデンス:芸術制作を行う人物を一定期間ある土地に招き、その土地に滞在しながらの作品制作を行わせる事業。地域文化の振興の点での効果が期待されている。
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(2017年3月25日@amu)

vol.2「法と制度の観点から」
・vol.3「ウェルビーイングへのアプローチ」

『ウェルビーイングの設計論』について、出版社ビー・エヌ・エヌ新社の関連情報ページもありますのでぜひ参考にしてみてください。
ウェルビーイングの設計論:サポートページ

本イベントにオーディエンスとして参加した山本郁也氏によるレポートもあわせてご覧ください。
「日本的ウェルビーイングの設計の可能性」参加レポート

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