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category開かれた写真集会議

開かれた写真集会議〜ZINEの進化を検証しよう。「写真会議録BRAINSTORMING」とともに〜
3rd event 「光に応える本」

2011年10月25日(火) 最終回 18:30〜20:30(開場18:00)


ゲスト 写真批評家 竹内万里子
    森岡書店 森岡督行
出演  写真会議録BRAINSTORMINGフォトグラファー
    星川洋嗣  田中由起子  柿島達郎  福井馨  中野幸英
司会  津田広志(フィルムアート社 編集長)

写真表現として、ZINEの流れの先にあるはずの新たな写真集の形態を模索する「写真会議録BRAINSTORMING」。 11月店頭発売となる第2号の製作過程を全3回で公開し、写真集のあり方を会場全体で探ってきました。 いよいよ最後となる今回、完成した写真集を会場にて公開いたします。



【イベントレポート】

6月より3回にわたって開催された「開かれた写真集会議」は、ZINEの完成をもって終了を迎えました。
イベントレポートに加え、「写真会議録 BRAINSTORMING」参加フォトグラファーのテキストと、彼らに「光」のテーマを与えた写真批評家・竹内万里子氏によるZINEの序文をご紹介いたします。


<イベントレポート>

全3回のイベント3回目はいよいよできあがったvol.2「光」を会場にて発表いたしました。ゲストにはイベント1stのゲスト/出題者の竹内万里子氏と、2ndの森岡督行氏の両名のゲストをお迎えし、イベントを締めくくる華やかな会場になりました。

各フォトグラファーの写真プレゼンの後、出題者の竹内氏とマンツーマンで対話を行いました。
竹内氏の質問や感想に、各フォトグラファーそれぞれの光について写真批評家として検証していく過程を楽しむことができました。

また後半は竹内氏と森岡氏の写真集の捉え方、ZINEについて語って頂く中で自身の森岡書店でZINEに触れている森岡さんが

ー「ZINE」とはと聴かれればわからないと応えるしかない。現在のZINEは定型がない、それが面白さだと思うー

という発言に会場全員が腑に落ちることができたように思います。
フォトグラファーが作品の中で全く違う方法でアプローチした点に竹内さんは

ー光という言葉を持って皆考え悩んでくれたことに感謝していますー

とお話しされました。

会場ではイベント終了後に簡単な懇親会が開かれ、互いの気になった表現や写真自体の楽しみについて、通常の出版イベントとは少し違った内容の挨拶が交わされていました。


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<写真会議録 BRAINSTORMING誌参加フォトグラファー・レポート>

星川洋嗣

 そもそも、ZINEというものの定義を知らず、ZINEとは?とも考えないままで集まり、制作した写真集「写真会議録 BRAINSTORMING」Vol.1でした。
 そこには、一個人(有名ではない)が写真での表現の形を求めての、純粋な動き出しだったように思います。はっきり言って、ZINEである必要性は全く無くそのようなカテゴリーを嫌う物として始まったように思っております。

 今回は公開イベント形式で作る、Vol.2。表現の形を、写真の外堀から埋めていくような作業に感じておりました。
 本来なら、撮り終えた写真ありきで(または、撮った写真があるから)語れる部分がかなりあると思っています。なぜなら撮影する事は、一瞬の感情で身体や心が反応してシャターを押す事のように思っています。
 たとえそれが長年狙っている被写体や、目指す結果が明確にあるものだとしてもです。動機は意味を無くしている事がかなりあるからです。

 写真を撮影する前段階を公開するという事は、なぜ、そう思ったか?なぜ、そう発言したか?なぜ、そう行動したか?なぜ?、なぜ??、なぜ???の連続で、写真を撮る事を躊躇させる要因になっていました。
 自分の中で納得いく「なぜ」の答えを出せないまま進んで行く時間でした。商業写真や、誰かのために撮影する写真とは明らかに異なる自問自答がとても苦しみ、また写真を撮る原動力になったように思います。
 他者から出して頂いたテーマのはずなのに、シャッターを押すたびに、これほどまで自分に跳ね返ってくるものなのかと改めて、気づかせてもらった時間となりました。興味を持って聞きにきて下さってる方達に自分の意思を伝える事の難しさや写真を見せたいのに、実は自分の生き方を見られているような恥ずかしさなど感情が揺れ動く、貴重な体験でした。

 一瞬だからこそ、より自分の人生観や生活、取り巻く環境が密接に関わり、それ以上でも無く、以下でもない嘘をつけない表現が出来たと思っております。ZINEというものが嘘をつけない表現媒体なのだとすれば、それだけで必要不可欠な物になっていると思います。

231hoshikawa_web.jpg 星川洋嗣
1981年生まれ、幼少期はサッカーにあけくれる。
2001年 広告写真制作会社入社。現在に至る。
2010年 APAアワード 写真作品部門 金丸重嶺賞受賞
2010年 香港国際ポスタートリエンナーレ 2010 金賞/ KAN Tai-Keung賞





田中由起子

 ZINEは、簡易印刷や少部数などで主に個人の作り手により制作される小冊子です。どんなカタチでも決まりはなく、純粋に楽しんでモノづくりすることが可能で、誰も排除しない懐の広さがある形態が魅力です。有名無名もプロもアマチュアもZINEという庭では垣根無しに遊び、試すことが許されるところに、私がZINEに共感する理由があります。

 本は、やはり商品として多く流通することが前提の出版物です。当然多くの人の手にわたる媒体ですが、そこで発表の場を持てる人は限られ、望んでも機会が巡ってこないのが現状です。
 表現行為は発表の機会が無いからという理由で他人からやめさせられるものでも、自らやめるようなものでもなく、勝手にやってしまえばいい。そうした場合にZINEは格好のツールであり、ブレストにとっても同様でした。ただ、手作りZINEが溢れる中に同じスタンスで手作り感ある写真冊子を作ることを選びませんでした。ZINEの場において写真というヴィジュアルイメージを用いた試みを行いつつ、意識的にZINE以外の場にも発信する方法をブレストは探ろうとしています。ZINEのその先への目線があるとしたらこの点かもしれません。

 vol.1を製作後、出版社を通さない写真書籍を世の中に紹介し、流通させることは非常に難しいとも知りました。直接冊子を見て、置いてくださった本屋さんには感謝しています。 「開かれた〜」という姿勢は、むしろ人に知られていてこそ生きるので、この点はZINEという庭から発信している私たちの課題です。

 もともと、この写真集制作には、読み手に伝わり易いだろうという意図からルールを設けています。制作期間を決め、同じ題目について各人の写真で応えよう、ページ数は均等で発想や方法に縛りは無い、というものです。そこに今回は、制作過程を公開する試みが加わりました。私個人としては、自らハードルを上げるような演出をするのは、自己満足で終わってしまうのではないかという疑問や不安がありました。ですが、試される緊張感や、公開という外部の要素が今後の制作に与えるだろう作用への期待もあり、前に進みました。
 私自身の心配は3回のイベント中に考えや写真が大きく変わってしまう可能性でした。制作中の変化の触れ幅を大きくしたくなかったことや、竹内万里子さんから出されたテーマ(「光」)を自分のものとするのに時間がかかったことから、実質的な撮影スタートはプレゼン後からでした。
 公開プレゼンをした際に自分の1枚に共感するという感想を頂きました。その場で感想を聞くことができるのは非常にありがたく貴重な機会だと感じましたが、今回は、特に、喜ばれる写真を自分に課した訳ではなかったので残りの制作に影響しないよう意識しました。

 イベントを3回に分けて行い、「vol.2光」を生み出す過程を人の目に触れさせたことは結果的に面白い試みでした。公開という手法に興味を持ったのと同時に、もしも自分が客側ならばもっと見せて欲しいと望んだかもしれないとも思いました。
「開かれる」ためには、方法はまだまだありそうです。

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田中由起子
1980年山梨生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業、美術館勤務、
スタジオ勤務後、2008年よりフリーフォトグラファーとして独立。
人物撮影を中心に広告、雑誌で活動。また小規模ながら40以上の単独展示。
顔や身体、記憶や物語に誘発された作品制作を行う。


 


福井馨

「BRAINSTORMING」を作ろうとして、初めてZINEの存在を知りました。
 そして最近ではそのZINEを置く本屋さんやギャラリーが増えている、ZINEを見せ合う場が増えている事を知りました。ZINEと写真集の違いはさておき、作品を自費でなおかつ紙媒体で見せようとする人間にはZINEの広がりはとても大きな価値があると思います。
そしてZINEを介していろいろなイベントが行われているのを知り、私たちも面白い事ができるんじゃないかと思う大きなきっかけとなりました。

 今回の公開プロセスでよかったことは、やはりゲストを呼べたこと、お題を出して頂いた事でしょうか。ゲストの方にもいろいろと意見をぶつけて頂いて、自分自身考える事も多かったですし、お客さんを少し巻き込めたのもおもしろかったと思います。
 1冊目から振り返ると、お題を頂いてそれに対してフォトグラファーが写真で答えるという形式というのも、公開プロセスにしたからこそよりおもしろくなったように感じます。

 中間のイベントをした後に、いろいろな意見を聞いて、頭の中で組み立てていた写真を変えるというのはなかなか難しいものがありました。再度撮影してもやはり別物になってしまう。同じ時間、同じ気持ちにはなかなかなれないと実感しました。

 ZINEって何だろうとこのイベントを通してずっと考えていました。写真集でもあり、画集でもあり。デザイン集でもあり。
 私はZINEは形ではなく場であると考えます。ZINEという名で人々は集まり、コミュニケーションをはかる場。固く考えず作品を出し合える場。表現の場に名前が付いた、そんな風に考えています。

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福井馨
2006年 多摩美術大学映像演劇学科卒業 在学中、演劇から写真へ転向
2007/'08/'10/'11年 APAアワード 写真作品部門 入選
2010年 香港国際ポスタートリエンナーレ 銅賞
2010年 ワルシャワポスタービエンナーレ 入選
座右の銘:頭隠して尻見せる


 


柿島達郎

 同人誌が必要な理由とは、現状の確認の為の手軽な方法だからだと思っています。表現者として、今どのような物を作れているのかはフィルムだろうと、データだろうと人の目に触れなければ解りません。
 しかし、出版となると簡単にできるものではない。だから人数が集まって、責任を分散させる。そう思って参加しています。

 今回の制作物がZINEだ、というには違和感があります。
 ZINEというものは鮮度が高い感情の反射みたいなものだと思っています。完成度なんか関係なく、問答みたいなノリが大事なもんじゃないかと。そう思えば今回制作したものは、まったくもってZINEじゃない。およそ鮮度がある制作行程ではなかったし、お題をいただいている時点で違うと思っていました。

 公開で制作した事は、良い刺激になりました。といっても、プロセスが刺激になったかというとそうではありません。決められた期日に与えられたテーマでというものは、実は仕事に近い感覚だったように思います。 ですから、あまり仕事と変わらない気持ちで制作しました。
 しかし、本来仕事の写真は関係者しか周りにいないので、興味のある人、ない人が直接意見を言える可能性がある現場は刺激的でした。写真は本来、観者の為にあるはずで、出資者の為にあるのではないと思います。広告なら消費者が、雑誌なら読者が最終の判断者です。仕事の写真はクライアントのオーケーで決まりますので、最終判断者の気持ちまでは伝わって来ない。
 勿論、商品が売れる、購読者が増えるが結果だと言われればその通りなのですが、写真家である以上、写真に対して真っすぐに意見が来るのはうれしいものです。このような機会をいただいたのは光栄でした。

 ZINEなんてもんは、流行でしかないと思っています。数年すれば忘れ去られる動きでしょう。
 それは、ZINEが生ものである以上、避けられない事だと思います。感情の爆発が、構成される前に制作される。これは、芸術の最たるもののようで、そうではない。プリミティブさを芸術的だと肯定すると、大人の出る幕は無くなってしまうでしょう。 幼稚な遊びが流行るのは、現実への不満が溜まっている時代背景があるのではないでしょうか?かつての、dadaのオートメーションもそうだったように。

 今回の制作を通して、写真は軽々しいものじゃないと再認識させられました。 もしかしたら、最もZINEに向いてない表現方法じゃないかとも思います。

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柿島達郎
2001年 神戸芸術工科大学ファッションデザイン学科卒業
2005年 東京工芸大学写真別科修了 / 広告撮影会社入社
2001年 K`mopa ヤング・ポートフォリオ展 入選
2006年 APAアワード 写真作品部門 入選





中野幸英

 写真は印刷と切っても切り離せないものです。写真がデジタル撮影、データ管理によって物理的な制約を離れた今、印刷やビジュアルデザイン、映像に取り込まれたと行っても過言ではありません。
 では写真というものは何かという問いに、フォトグラファーとしてそれは「見方」であると言いきれます。
「撮影という場所と時間の制約にどれだけ意識を向かわすことができるか、意識を向けた先にどれほどの価値があるのか」
 ハードウェアから離れた写真は、つまりソフトウェアになり、実はあらゆる複合的なメディアに浸食していったともいえます。
 写真集というものはつまり実体をなくした写真の傀儡です。正しくいえば、1枚で写真集や本という形態は成り立たないので、よくわからない生き物たちが乗り移った、狐憑きを起こしているような実体を私は頭に浮かべることができます。

 一方ZINEとはアート全般の作品の生命力をそのまま納めた本としての作品です。展示の図録が失ったオーラを逆にそのままさらけ出す分、作品的価値は、リトルパブリッシングの自由な形式の故に集約され、まさにブックレットとして、アートをまとまりがよく手になじむ実体に揃えます。amuで行われた今回のイベント内で森岡書店の森岡督行さんが「ZINEとはと言う問いに、わからないと返すしかない」とおっしゃっていたのが印象的です。ZINEはアートが本という媒介に乗り移ったイメージを想像してしまいます。
 私たちの始めた「写真会議録 BRAINSTORMING」のシリーズはそのようなブックレットされることを念頭に置いていない点で、ZINEとして区分されないのだと思いますし、他のZINEとは並べにくいのです。手で作ったようなオーラを物体として欠くのかもしれません。その分、大量生産(拡散)されるが実体を持つ本という前提で、何を写真として見せるのかという、わかりやすい問いがあります。もし他のアートと写真作品にわずかなズレがあるとしたら、この相違なのかもしれません。

 写真集というものを今一度、フォトグラファーが集まり自ら制作者として構成していく「BRAINSTORMING」は、しかしZINEと同じ時代を感じて作っているのだと考えています。物質として価値が不明瞭な作品自体よりも、個々のハードウェアとしてのポテンシャルを知識として望まれることが多い現在、作り手の媒介として本という形式が今一度重宝されているのです。

 今回は三回amuでの公開制作を行いました。内容は当初考えていた制作報告や作品検討といった進行のはずが、まるで動物ショーのようでした。改めて個々の撮り手の姿が、主体が求められていると感じる機会になりました。他者の意見や存在を時に頭から追い払ってまで提示する、という個々の作り手としての姿勢が時系列を追って明白に現れる場として、私たちとしても価値があったと思います。

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中野幸英
1978年 神奈川出身 早稲田大学第二文学部卒業 / 東京工芸大学芸術別科修了
在学中に学生主体の写真ワークショップAg_textsを主宰。
写真プロダクション修行の後、2004年よりフリーフォトグラファーとして製作活動。
人物、イメージ、ムービー撮影、商品撮影など多岐の仕事。2011年SKYLAB 設立代表

 

*写真作品は前回8月の2nd event内で発表された「光」テーマへの各1枚プレゼンより






< 光 >



 いま、私たちの目の前には途方もなく複雑な現実が拡がっている。ただしそれはいまに始まったことではない。私たちがこれまで見えていながらも凝視せず、聞こえていながらも耳を傾けてこなかっただけのことだ。私たちはもう、このような現実を見なかったことにもできないし、聞かなかったことにもできない。

 作品を作る人間に課せられた仕事とは、居心地の悪い現実にただ目をつぶり、安易な希望をかかげてそれを一瞬忘れさせることなどではない。あるいはこれみよがしに絶望して嘆いてみせることでもあるまい。そのどちらにも陥ることなく、社会ひいては自分自身に潜む闇の中で、この現実を最終的に肯定するためにもがき続けること以外にはない。

 どれだけの時間がかかるかはわからない。本当に可能かどうかもわからない。だが少なくともこのようにして生きる人間がいるということが、果てない闇の中でかすかに響く声となっていつか誰かの耳に届くのだとしたら。もしいま希望という言葉を使うことが許されるのだとしたら、そのようにしてつかみ取られた「光」以外に、それが何であり得よう。

 

「写真会議録 BRAINSTORMING vol.2 光」序文より





竹内 万里子 / 写真批評家
1972年東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了(芸術学)。
国内外の雑誌・新聞に写真評論を多数寄稿。2008年「パリフォト」日本特集のゲストキュレーター。
主な著書に『日本の写真家101』(共著)、訳書に『ルワンダ ジェノサイドから生まれて』などがある。
京都造形芸術大学芸術学部准教授 /早稲田大学非常勤講師/東京国立国際美術館客員研究員




【開催概要】


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6月の1st event内で竹内氏より出題されたテーマ「光」に対し、各フォトグラファーがどのように考え応えたか、再び竹内氏と2nd eventゲストの森岡督行氏をお招きし、写真集自体を検証すると共に写真集という表現方法について会場全体で探ってゆきます。 写真研究者/デザイナー/編集者/美術系学生/ZINE製作者など、ビジュアル表現全般に興味のある幅広い層からのご来場をお待ちしています。

【プログラム予定】
1 「光」作品とBRAINSTORMING
2 竹内氏とフォトグラファーとの対話
3 写真集の楽しみ、ZINEの価値
4 会場全体での意見交換
※イベント終了後、希望者のみ21:30まで交流会を行います。



【定員】50名

【参加費】1,000円

【会場】amu




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Next ZINE
 「写真会議録BRAINSTORMING」は、20・30歳代のフォトグラファーメンバーによる先鋭的なZINE として、「ひとつの問いに、写真で応える。」のコピーを添え、本年1月にvol.1「人間」を自ら発刊。 「アサヒカメラ」誌の特集などでも紹介され、5月の表参道ヒルズ"THE PHOTO / BOOKS HUB TOKYO 2011"、7月のアジア最大級のアートブックフェア「THE TOKYO ART BOOK FAIR」等、写真集・ZINEを主体としたイベント内でも好評を得ています。
 彼らの写真集では「テーマ」と「撮影期間」を設定し、読者は各撮影者の応え方を写真のみで目の当たりにします。このような設定は、そもそも制約のないZINEの発展型とも考えられ、若い世代による実験台としての出版形態、という価値を持っています。

 *ZINE ... "ジン" と読む、世界的に流行しているアート全般の同人誌形態。 Magazine / Fanzineが語源。



■ 開かれた会議
 amuでは彼らの動きと同調したイベントとして、今までカメラテクニックに頼りがちだった写真講座や、著名写真家の意見を聴く講演会とは異なり、今回いわゆる写真界の内輪でなく広く社会全体に開かれた、写真表現を探求するトークイベントを行います。
 ゲストには、各分野で現在活躍中の世代の方をお呼びし、現代表現の前にある諸問題から、自主製作活動から必要な能力や意識、出版における土台としての可能性について、さらには各分野の見地から写真表現について言及して頂く貴重な機会となります。
 イベント内ではBRAINSTORMINGの誌面製作プロセスをたたき台として、会場でリアルタイムで写真表現を模索し、"zine"と呼ばれる世界的なリトルプレスの現象とその発展を、皆さんで見極めたいと考えます。



■ 出題、制作、発表のプロセスをオープンにします。
110606_amu1st011.jpg1st event(6月6日)
『写真批評家からの問題提起』
 国内外にて批評活動・写真展企画など活動を続ける写真批評家 の竹内万里子氏をお呼びし、BRAINSTORMING次巻のテーマに「光」を会場内にて出題していただきました。写真へのご自身の愛情と期待を真摯に話して頂き、この時期において撮り手がどんな光を捉えるかというお話をされ、意義深く難しいテーマと相まって、緊張感溢れる前半となりました。
 竹内氏の真摯な態度に呼応し、後半ではフォトグラファー達が現時点での想定を正直に話し、個人的な震災への迷いや、自身にとって現在の「光」について言及しました。フォトグラファーと写真批評家の感情を率直に聴ける、写真集作成への第1段階として貴重な場となりました。


2nd event(8月2日)
『撮影現場と書店を繋ぐまなざし』
syashin.jpg  途中経過にあたる2回目、ゲストにはこの9月に雑誌「カメラ日和」の連載から、「写真集 誰かに贈りたくなる108冊」というタイトルの著書を出版された、森岡督行氏(茅場町/森岡書店店主)をお呼びしました。自身のコレクションより戦前戦後の対外広報誌や木村伊兵衛による最初の写真集をスライドしながら、当時の冒険的で力強い誌面作りについて語っていただき、震災という大きなショックと刺激の強いビジョンに対し、写真集への期待をなさる自身の思いを丁寧に穏やかに口にされていました。
 後半、次号「光」の撮影中作品から各1枚をプレゼンテーションし、フォトグラファーの姿勢と森岡さんの姿勢を並べることで、会場全体で意見をダイレクトに口にできる雰囲気を持てました。フォトグラファー同士でもお互いのプレゼンに意見を出し合い、森岡氏の実直で冷静な感想を聞け、お客様が自信の感覚を話す。ブレストの名に恥じない一歩踏み込んだ話し合いとなり、森岡様と来場された方々に感謝いたします。



【ゲスト】
竹内 万里子 / 写真批評家
1972年東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了(芸術学)。
国内外の雑誌・新聞に写真評論を多数寄稿。2008年「パリフォト」日本特集のゲストキュレーター。
主な著書に『日本の写真家101』(共著)、訳書に『ルワンダ ジェノサイドから生まれて』などがある。
京都造形芸術大学芸術学部准教授 /早稲田大学非常勤講師/東京国立国際美術館客員研究員

森岡 督行 / 森岡書店オーナー
1974年生まれ。2006年から茅場町にて古本屋とギャラリー業を兼ねる同店舗を運営している。これまでに、平野太呂、中藤毅彦、細江英公、津田直、元田敬三、堀江敏幸、大竹昭子、草森紳一、鈴木理策らの写真展を開催。9月に著書「写真集誰かに贈りたくなる108冊」(コロナブックス / 写真:平野太呂)を刊行。



【出演】
写真会議録 BRAINSTORMING誌参加フォトグラファー


231hoshikawa_web.jpg 星川洋嗣
1981年生まれ、幼少期はサッカーにあけくれる。
2001年 広告写真制作会社入社。現在に至る。
2010年 APAアワード 写真作品部門 金丸重嶺賞受賞
2010年 香港国際ポスタートリエンナーレ 2010 金賞/ KAN Tai-Keung賞



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田中由起子
1980年山梨生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業、美術館勤務、
スタジオ勤務後、2008年よりフリーフォトグラファーとして独立。
人物撮影を中心に広告、雑誌で活動。また小規模ながら40以上の単独展示。
顔や身体、記憶や物語に誘発された作品制作を行う。


 
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柿島達郎
2001年 神戸芸術工科大学ファッションデザイン学科卒業
2005年 東京工芸大学写真別科修了 / 広告撮影会社入社
2001年 K`mopa ヤング・ポートフォリオ展 入選
2006年 APAアワード 写真作品部門 入選



251fukui_web.jpg

福井馨
2006年 多摩美術大学映像演劇学科卒業 在学中、演劇から写真へ転向
2007/'08/'10/'11年 APAアワード 写真作品部門 入選
2010年 香港国際ポスタートリエンナーレ 銅賞
2010年 ワルシャワポスタービエンナーレ 入選
座右の銘:頭隠して尻見せる


 
241nakano_web.jpg

中野幸英
1978年 神奈川出身 早稲田大学第二文学部卒業 / 東京工芸大学芸術別科修了
在学中に学生主体の写真ワークショップAg_textsを主宰。
写真プロダクション修行の後、2004年よりフリーフォトグラファーとして製作活動。
人物、イメージ、ムービー撮影、商品撮影など多岐の仕事。2011年SKYLAB 設立代表


 

*写真作品は前回8月の2nd event内で発表された「光」テーマへの各1枚プレゼンより


【司会】
津田広志(フィルムアート社 編集長)

【共催】
写真会議録BRAINSTORMING編集部 / フィルムアート社